放課後等デイサービスのつぶれる原因とは?2024年の法改正で今後どうなる?
放課後等デイサービスの倒産数が増えている。最近こんなことを耳にすることはありませんか?
「つぶれる原因はどんなものだろう?」
「うちの事業所は大丈夫だろうか?」
「今後も安定した経営を続けていくには?」
と不安を感じている経営者様もいるのではないでしょうか。
今回は、なぜつぶれる事業所があるのか、つぶれる原因を踏まえて今求められている放課後等デイサービスとはどんなものなのか等について解説していきます。
2024年の法改正で経営環境は大きく変わることが予想されます。その中で競争に勝ち抜き放課後等デイサービス業界で生き残れる事業所になるためにも、本記事をぜひ参考にしてみてください。
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放課後等デイサービスの現状と倒産について
まずは、放課後等デイサービスの現状についてみていきましょう。
放課後等デイサービスの現状
障害児の増加・女性の就業率上昇により放課後等デイサービスの需要が高まり、それに伴い放課後等デイサービスを運営する事業所数も増えてきました。
現在では、放課後等デイサービスの事業所数が全国で17,000以上と制度開始時の2,887から比べると6倍近くに増加しています。
これは、2012年の法改正を機に多くの民間企業が放課後等デイサービス事業に参入してきた結果ですが、参入のハードルが低かったために適切な支援を行わない・国に不正請求をするなど営利目的に走る事業所の増加が問題視されてきました。
こうした背景を受け、国はサービスの質を向上させる必要があるとして、2018年に報酬の改定を行ったのです。
それにより、サービス提供内容や人員配置等で問題のあった企業は報酬が減額され赤字に陥り経営が立ち行かなくなるというケースが急増しました。
さらに2021年に再度法改正が行われ、「学童保育的役割を担わせる」「預かり中心の事業所を問題視」など、より質の高いサービスが求められるようになってきています。
放課後等デイサービスの倒産
次に、放課後等デイサービスの倒産状況についてみていきましょう。
民間信用調査会社帝国データパンクの調べによると、2022年の放課後等デイサービスの倒産件数が14件で、21年の2倍で過去最多ということが分かりました。
倒産の原因はコロナ渦の影響もありますが、水増し請求や不適切な人員配置等による法令違反も多くを占めており悪質な事業者が経営破綻しているケースも目立ちます。
倒産した企業のうち29事業所で倒産理由が明らかになり、利用者の低迷によるものが34.5%と最多でした。
次いで、水増し請求や不適切な人員配置に起因した施設内での怪我やトラブルを理由に行政処分を受けた「法令違反」によるものが31.0%を占め、ずさんな経営体制が明るみになっています。
放課後等デイサービスがつぶれる原因とは
放課後等デイサービスがつぶれる原因には以下のようなものが考えられます。
・競合が多い
・人手不足
・報酬改定の影響を受ける
競合が多い
放課後等デイサービスの事業所数は2014年が5267だったのが、2023年には20,307と大幅に増えています。
事業所数が増えているということは競争も激しくなり、利用児童を増やしづらくなる状況に年々なってきています。
利用児童を想定よりも確保できなく経営が悪化してしまうことも少なくありません。
人手不足
放課後等デイサービスでは人手不足によって経営が厳しくなってしまうこともあります。
運営には最低限配置しなければならない職種や人数が定められているため、不足すると経営に大きな影響を与えます。
また、採用費をかけて人員を増やしたところすぐに辞めてしまい、新たに募集をし直すためにさらに採用費がかさんでしまい大きな負担となることもあります。
人が辞めずに十分に運営ができる人員体制を維持できない場合は経営が厳しくなります。
報酬改定の影響を受ける
放課後等デイサービスは3年に1度の報酬改定があり、改定の内容によっては大きく影響を受ける事業所もあります。
これまでの報酬よりも下がり運転資金が足りず経営が悪化してしまう場合もあります。
放課後等デイサービスの今後
2024年度に法改正が行われ、放課後等デイサービスは「総合支援型」「特定プログラム特価型」の2類型化される予定です。
倒産する事業所が増える中、放課後等デイサービスのニーズが高まっているのも事実で、事業所数・利用者数共に増加している現状があります。それに伴い、サービス提供内容が習い事のような特定の内容に偏ってしまうという問題がありました。
2024年の法改正ではこの問題を解決するために、放課後等デイサービスを「総合支援型」と「特定プログラム特価型」の二分化することになったのです。
また、2021年度の法改正で問題視されていた塾などの機能や預かりが中心となり適切な支援が行われていない事業所は、公費による支援対象から外されることになります。
「総合支援型」と「特定プログラム特価型」をどのように分類するのか、支援内容に専門性がないことをどのように認定するのか等今後精査される部分はまだ多いですが、この法改正で放課後等デイサービスの淘汰が進むことが考えられます。
2類型化の内容は以下になります。
総合支援型
4つの基本活動「自立支援と日常生活の充実のための活動・創作活動・地域交流の機会の提供・余暇の提供」を複数組み合わせた支援を行う基本型放課後等デイサービス。
特定プログラム特価型
理学療法・作業療法・言語療法等で専門性の高い有効な発達支援を行う放課後等デイサービス。
つぶれないための対策
ここまででお分かりの通り、営利目的では経営はすぐに立ち行かなくなってしまいます。
次回の法改正ではより質の高いサービス提供が求められていくことが明らかであり、今後求められているのは、利用者さんの特性や発達段階等に合わせた支援プログラムがしっかりと確立され、質の高いサービス提供ができる事業所であることです。
そのためには、支援プログラムの狙い・計画を明確にして他事業所との特色の違いをはっきりと打ち出す必要があるでしょう。
支援プログラムの計画を立てることは安易ではありませんので、早めに準備を始めることをお勧めします。
特定プログラム特価型を狙うのであれば、専門職員の確保も今のうちから始めると良いでしょう。
また、お預かりしたお子さんの安全を確保するためにも人員配置等基本的な部分の見直しも同時に行っていきましょう。
まとめ
以上、放課後等デイサービスがつぶれる原因や、2024年の法改正について解説をしてきました。
社会背景を考えると今後も放課後等デイサービスの需要は高く、業界の競争も激しくなっていくことが予想されます。
競争が激化する中で生き残るためには、利用者さんに合った適切なプ支援ログラムで質の高いサービスを提供することと、特色のある支援プログラムを打ち出し他事業所との差別化を図ることが重要です。
質の高いサービスを提供して利用者さんの成長を促し、生活能力の向上や将来的な自立に向けた支援を行っていくということが、今求められている放課後等デイサービスと言えるでしょう。