令和6年就労継続支援B型の報酬改定を解説|今後求められる事業所運営とは
2024年4月から、障害福祉サービス等の報酬が改定されました。報酬改定は就労継続支援B型事業所にとって、売上を左右するとても重要なポイントです。
本記事では、令和6年の就労継続支援B型の報酬改定について詳しく解説しています。報酬改定の内容を解説することはもちろん、今回の報酬改定で見えてきた今後事業所をどう運営していくべきかも解説しています。
報酬改定内容を把握するだけでなく、この機会に今後の事業所運営について考えてみてはいかがでしょうか。
令和6年就労継続支援B型の報酬改定内容
令和6年就労継続支援B型の報酬改定では、基本報酬体系の見直しという大きな変更がありました。それぞれの項目について詳しく解説していきます。
基本報酬の見直し
人員配置「6:1」の報酬体系の新設
従来人員配置による基本報酬は、「10:1以上」「7.5:1以上」という区分だけでした。しかし令和6年の改定から、人員配置「6:1」の報酬体系が新設されます。
人員配置による報酬体系が新設されたということは、従業員配置比率の高い事業所を優遇していく方針が読み取れます。
平均月額工賃が高ければプラス評価、低ければマイナス評価に
平均工賃月額に応じた報酬体系について、平均工賃月額が高い区分の基本報酬の単価を引き上げ、低い区分の単価を引き下げる改定がおこなわれました。例えば従業員比率「7.5:1以上」の場合、以下のように報酬体系が変わっています。
平均工賃月額 | 現行 | 見直し後 | 差 |
4.5万円以上 | 702単位/日 | 748単位/日 | 46単位/日 |
3.5万円以上4.5万円未満 | 672単位/日 | 716単位/日 | 44単位/日 |
3万円以上3.5万円未満 | 657単位/日 | 669単位/日 | 12単位/日 |
2.5万円以上3万円未満 | 643単位/日 | 649単位/日 | 6単位/日 |
2万円以上2.5万円未満 | 631単位/日 | 637単位/日 | 6単位/日 |
1.5万円以上2万円未満 | 611単位/日 | 614単位/日 | 3単位/日 |
1万円以上1.5万円未満 | 590単位/日 | 584単位/日 | -6単位/日 |
1万円未満 | 566単位/日 | 537単位/日 | -29単位/日 |
平均工賃月額が高い事業所にとっては有利な改定である一方、平均工賃月額が低い事業所は報酬が下がっています。
目標工賃達成加算の新設
目標工賃達成指導員配置加算を算出している事業所が、工賃向上計画に基づき、実際に工賃が上昇した場合、10単位/日が加算されます。この制度からも工賃を上げたいという方針が見て取れます。
短時間利用減算の新設
利用時間が4時間未満の利用者が全体の5割以上の場合、所定単位数から30%減になる制度です。ただし一般就労に向けた利用時間延長のための支援を実施している場合や、やむを得ない理由で短時間利用となっているケースを除きます。
平均工賃月額の算出方法の見直し
平均工賃月額に応じた報酬体系の事業所では、算出方法が変更になりました。現在の算定方法では、障害特性などにより利用日数が少ない人を多く受け入れると、平均工賃月額が下がって基本報酬の単価も低くなるリスクがあります。そのため、平均利用者数を用いた新しい算定式を導入することになりました。
就労継続支援B型の報酬改定の傾向
ここまで就労継続支援B型の報酬改定について解説してきました。それではこの改定は、どのような傾向があるのでしょうか。改定の傾向が見えてくれば、今後事業所をどのように運営すればいいか予測ができます。
労働環境が整っている事業所に有利な改定
- 人員配置「6:1」の報酬体系の新設
- 平均月額工賃が高ければプラス評価、低ければマイナス評価に
- 目標工賃達成加算の新設
- 短時間利用減算の新設
今回基本報酬では、上記のような改定がおこなわれました。いずれにも共通するポイントとして、利用者の労働環境が整っている会社は報酬がアップしていることが挙げられます。逆を返せば、ただ利用者を集めているだけの事業所は、報酬が下がっています。
国からの報酬を高くするためには、利用者の工賃を上げる・従業員を増やすなど、労働環境を整えていく必要があります。それを達成するためには、ただ利用者を呼び込むだけでなく、ビジネスを成立させ利益を上げる必要があります。今回の改定では、労働環境を整えビジネスを成立させている事業所に有利な改定と言えます。
今後もこの傾向は続きそう
そして今回の改定の傾向ですが、今後も同じような傾向が続くと予想されています。残念ながら就労継続支援事業所の中には、ただ利用者を集めて作業をほとんどさせていない事業所がありました。今回の改定ではこうした事業所の報酬を減らし、利用者にしっかり仕事をさせている事業所の報酬を上げています。
「障がいや難病のある方のうち、年齢や体力などの理由から、企業等で雇用契約を結んで働くことが困難な方に対して、仕事や人と関わることを通じてよりよい生活や生きがいにつながるような機会を提供する」という就労支援本来の意義を達成したいという意向でもあります。そのため今後も労働環境が整っている事業所に有利な報酬改定は続くと予想されています。
就労継続支援B型の今後の経営はどうなるのか
令和6年の就労継続支援B型の報酬改定内容と傾向を踏まえて、今後就労継続支援B型事業所はどのように経営をしていけばいいか解説していきます。
ビジネスを成立させないと生き残れない可能性がある
報酬改定の傾向でもお伝えした通り、利用者の労働環境が整っている会社は今後も報酬がアップすることが予想されます。一方でただ利用者を集めていただけの事業所、報酬が低い事業所は今後生き残りが厳しくなる可能性があります。
こうした事情を踏まえると、利用者に仕事をしてもらいそれによって利益を上げる。つまりビジネスを成立させないと、事業所の生き残りは厳しくなるでしょう。つまり利用者といかに利益の出る仕事をしていくか、これができるかがポイントになりそうです。
うまくビジネスを成立させている事業所の事例
利用者に仕事をしてもらいうまくビジネスを成功させている事例として、『でじるみ』を紹介させていただきます。でじるみは動画制作・キャラクターデザインなど、Web事業に強みのある事業所です。
B型事業所の利用者は会社への通勤が困難な方が多いので、Web事業との相性がいいです。Webのスキルがある利用者が集まれば、企業から動画編集やイラスト作成などの仕事を受注して、利益が挙げられます。
このように利用者に対してどんな仕事を作れば利益が上げられるかを考えることが、これからの事業所運営には大切になります。こうした成功事例はいくつもありますので、ぜひ参考にしてみてください。
従業員・報酬の資金繰りが成功のポイント
ここまで今後のB型事業所の運営について解説をしてきました。事業所によっては、方針を大きく切り替える必要も出てくると思います。
B型事業所を運営していく上で、重要なポイントは従業員と報酬のバランスです。従業員比率を上げれば報酬額は増えますが、当然人件費が増えます。そのためビジネスが成立していない状態で従業員を増やしても、人件費が圧迫されて経営が厳しくなってしまいます。
この資金繰りをいかにうまくするかが、B型事業所を運営していく上での成功のポイントです。
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