【就労継続支援B型事業所開設マニュアル】継続的に運営するポイントも紹介
これから就労継続支援B型事業所を開設される方は、以下のようなお悩みを抱えているのではないでしょうか。
「B型事業所を開設するために何を準備すればいいかわからない」
「今後安定してB型事業所を運営していけるのか不安」
本記事では、そんな悩みを抱えている方に向けて、就労継続支援B型事業所の開設マニュアルを公開いたします。また開設するだけでなく、継続的に運営し続けるためのポイントも合わせて解説。今後B型事業所を開設する不安を解消いたします。
就労継続支援B型事業所開業の要件
就労継続支援B型事業所を開設するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 人員基準
- 設備基準
- 運営基準
- 法人格
それぞれ詳しく解説していきます。
人員基準
就労継続支援B型事業所では、最低限の職員配置が必要です。就労継続支援B型事業所の人員基準に定められている職種は下の4つです。
- 管理者
- サービス管理責任者
- 生活支援員
- 職業指導員
管理者とサービス管理責任者は兼務されることが一般的で、事務所には必ず1人必要です。職業指導員と生活支援員の常勤換算上の合計人数が、前年度の平均利用者数を10で割った数以上となるように配置しなければなりません。ただし開設時は前年度の平均利用者数の数字がありませんので、定員の90%の配置が必要です。
例えば定員数20人の場合、20×0.9=18人が平均利用者数になります。そのため従業員が2人だと従業員配置10:1、従業員が3人だと従業員6:1で報酬が計算されます。従業員配置10:1で定員数20人の事業所を開設する場合、以下の人員をそろえる必要があります。
- 管理者兼サービス管理責任者…1人
- 生活支援員…1人
- 職業指導員…1人
人員基準を満たすための採用は、あらかじめ考えておく必要があります。
設備基準
設備については、利用者が安全かつ快適に利用できるようにする必要があります。
設備 | 基準 |
訓練・作業室 | 訓練や作業に支障がない広さ 訓練や作業に必要な機械・器具などを揃える |
相談室 | 話し声が漏れないよう仕切りなどを設ける |
多目的室 | 支援に支障がなければ相談室との併用可 |
洗面所 | 利用者の特性に応じたもの |
トイレ | 利用者の特性に応じたもの |
たとえば、作業スペースや休憩エリアが十分に確保されていること、バリアフリーに対応したトイレや出入り口があることが求められます。また、作業に必要な器具や設備を整えるとともに、安全対策としての消火器や避難経路の設置も義務付けられています。
これらの基準は物件を準備する際、抜け漏れがないよう意識しましょう。
運営基準
運営基準には、事業所の運営方針や支援内容、利用者への対応方法が含まれます。具体的には、個別支援計画の作成・更新、職員の研修の実施、利用者の権利擁護や虐待防止への取り組みが義務付けられています。また、労働時間や工賃に関するルールも明確に定められており、利用者が適切な支援を受けられるよう運営体制を整える必要があります。
法人格の準備
事業所を開業するには、法人格が必要です。株式会社やNPO法人、社会福祉法人など、さまざまな法人形態が認められています。法人を設立する際には、定款の作成、役員の選任、法人登記などの手続きを経る必要があります。さらに、事業所開設にあたっては、都道府県の福祉事務所からの指定を受ける必要があり、その際には申請書類の準備や審査も求められます。
就労継続支援B型事業所開業までの流れ
続いては就労継続支援B型事業所を開業するまでの流れを解説していきます。これから事業所開業を目指す方は、以下の流れ通りに開業を進めていきましょう。
- 事業計画書の策定
- 融資・資金繰りの相談
- 法人の設立
- 物件の準備
- 職員の採用
事業計画書の策定
開業にあたっては、まず具体的な事業計画書を策定することが重要です。この計画書には、事業の目的、提供するサービス内容、目標利用者数、収益予測、初期投資額、運営コストなどを詳細に記載します。
これにより、ビジネスの方向性が明確になり、資金調達や行政手続きでの説得力を高めることができます。また、計画書には市場調査の結果や競合分析も含め、他の事業所との差別化ポイントを明示することが求められます。
初めて事業所を開業される方は、専門のコンサルタントや行政書士の方に、アドバイスを受けるという方法もあります。売上が国からの報酬になるので、他のビジネスとは少し毛色が違います。事業計画書を作成する段階で、そのような仕組みの理解や売上計画を立てておくことが大切です。
融資・資金繰りの相談
事業所開業には多額の初期費用がかかるため、資金調達の準備が不可欠です。融資を受ける場合は、日本政策金融公庫や地方銀行、信用金庫などを活用することが考えられます。
就労継続支援B型事業所の場合、開業時の初期費用は300〜1000万円前後、運営に必要なランニングコストは月に200万円前後と言われています。初期費用の多くを占めるのが物件の初期費用、ランニングコストは家賃と人件費です。家賃と人件費は地域差がかなりありますので、事前にいくらかかるか調べておきましょう。
また、自治体による福祉関連の助成金や補助金も検討するとよいでしょう。資金計画を立てる際には、開業後の運転資金も考慮し、融資や補助金の利用可能額を正確に把握することが大切です。
法人の設立
事業所を運営するためには法人格の取得が必要です。また、設立後は、福祉サービスの指定を受けるための申請を都道府県に行い、必要な基準を満たしていることを証明する書類を提出します。
物件の準備
適切な物件を探す際には、利用者の安全性や利便性を考慮する必要があります。バリアフリーの設計や十分なスペースの確保、交通アクセスの良さなどが物件選定のポイントとなります。
また、契約前に設備基準を満たしているか、必要な改装が可能かを確認することが重要です。物件契約後は、必要な設備の設置や内装工事を行い、開業準備を進めます。
職員の採用
事業所の運営には、職業指導員、生活支援員、サービス管理責任者などの専門職員の採用が必要です。職員の募集は、ハローワークや福祉関連の求人サイトを活用することが多く、採用条件や勤務内容を明確にして求人を行います。
また、採用後の職員研修も重要で、法定研修の受講や事業所独自の研修プログラムを実施し、支援の質を高めることが求められます。
継続的に就労継続支援B型事業所を運営するためのポイント
ここまで就労継続支援B型事業所開設の準備について紹介してきました。もちろん準備はとても大変ですが、準備が終わってもあくまでスタート。ここからどのように運営していくか、どのように運営を維持していくかが大切です。
最後に継続的に就労継続支援B型事業所を運営するためのポイントについて解説していきます。
サービス管理責任者は創業者がなる
B型事業所を運営していく上で、サービス管理責任者は非常に重要なポジションです。サービス管理責任者になるためには、以下のすべての条件を満たさなければなりません。
- 定められた分野・職種での実務経験(3~8年)※ 期間は保有資格や経験内容によって変わります。
- 相談支援従事者初任者研修 講義部分の一部受講
- サービス管理責任者等基礎研修の受講
- サービス管理責任者等実践研修の受講
- サービス管理責任者等更新研修の受講(5年ごと)
実務経験に加えて、いくつもの研修を受講する必要があります。そのためサービス管理責任者は市場にも少なく、採用が困難を極めます。サービス管理責任者は市場で引く手あまたですので、条件や環境が悪ければせっかく採用できても、辞められてしまうリスクがあります。サービス管理責任者が辞めたことで、運営できなくなった事業所もいくつもあります。
そのためこうしたリスクを避けるためにも、創業者がサービス管理責任者になることをおすすめします。そうすればサービス管理責任者の採用コスト(お金・時間ともに)から解放され、事業所運営に集中できます。
スタートは少人数で始める
定員が20名のB型作業所を開設する場合、サービス管理責任者以外に最低2人(生活支援員と職業指導員)の雇用が必要です。ただしこれにもう1人採用すると、従業員比率が6:1になり、基本報酬額がアップします。そのため3人採用して、従業員比率6:1で始める事業所があります。
しかし資金繰りの面を考えると、これはあまりおすすめできません。はじめは利用者を集めるのが難しく、常時20人の利用者に来てもらうためには、少なくとも半年はかかります。その間1人従業員が多いと、その分の人件費がコストとして重くのしかかります。障害福祉サービス報酬は、通常1.5か月後に入金されるので、ただでさえキャッシュフローが悪化しがちです。
そのため最初は必要最低限の人数でスタートし、利用者が集まってきたら従業員を増やすことをおすすめします。事業所を運営していくためには資金繰りが重要なので、スタートは少人数ですることをおすすめします。
資金繰りを考えておく
B型事業所では、障害福祉サービス報酬がメインの収入源となります。そしてその障害福祉サービス報酬は、通常1.5カ月ほど経ってから入金があります。つまり最初の入金があるまでは確実に赤字です。また最初は利用者も少ないので、入金金額がランニングコストを上回るまで時間がかかります。
そのためB型事業所を運営すると、資金繰りの問題に必ずぶつかります。利用者数が増えていても入金が遅いので、家賃や人件費の支払いでカツカツになることは日常茶飯事。多くの経営者が資金繰りで苦労しています。
資金繰りで悩まないためには、初めの半年間余裕をもった資金計画を立てておく必要があります。予想以上に利用者が伸びなくても運営できるよう、余裕をもった計画を立てておきましょう。
就労継続得支援B型事業所の資金繰りはケアファクタリングへ
ケアファクタリングでは、障害福祉サービス専門のファクタリングサービスを展開しています。ファクタリングサービスを利用していただくと、通常約1.5か月かかる障害福祉サービス報酬の入金が大幅に短縮され、最短3営業日での資金化が可能です。そのため資金繰りがかなり改善されます。
「B型事業所をはじめたけど、資金繰りでつまづいた」
「初期費用があまり捻出できず、カツカツで運営している」
そんな方はぜひ一度ご相談ください。ファクタリングサービスをご利用いただければ、資金繰りが改善されますよ。
\就労継続支援B型事業所の資金繰り改善に役立つ!/
