ケアマネージャー不足が深刻化!原因と対策とは?
近年、介護保険制度において欠かせない存在であるケアマネジャーの人手不足が深刻化しています。
ケアマネジャーは介護保険サービスの調整や提案など、サービスを利用するための大切な要です。そのため、ケアマネージャー不足の深刻化は介護業界において大きな問題となっています。
ケアマネージャー不足の現状とその背後に潜む理由についてお話ししましょう。そして、ケアマネージャーと契約できなかった場合や適切なケアマネを見つけられなかった場合の代替策についても考えてみましょう。
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ケアマネージャーが不足している背景
全国的にケアマネジャー不足が深刻化しており、その背後にはいくつかの理由が存在します。
少子高齢化による需要の増加
ますます進行する高齢化社会とその増大する需要が、この問題の背景となっています。日本は現在、65歳以上の高齢者が全人口の約3割を占める超高齢化社会に突入しています。
この高齢者人口の割合は今後も増加し、2040年には高齢者が全人口の35.3%を占めると予測されています。
高齢者人口の増加に伴い、介護保険サービスの利用者数も増えており、2022年には過去最高の638万1700人の方が介護保険サービスを利用しました。この利用者数も、2040年にはピークを迎える見込みです。
ますます必要不可欠とされる介護人材に対する需要が高まっています。高齢者人口の増加に伴い、利用者のケアを担当するケアマネジャーの人員も必要不可欠となってきます。
ケアマネージャーになる人が少ない
高齢者人口の増加に対し、ケアマネジャーの人員は増加していない現状があります。
現在、居宅介護支援事業所で働くケアマネジャーの数は117,025人です。
毎年、「ケアマネ試験」として知られる介護支援専門員実務者研修受講試験が行われていますが、受験者数は増加せず、合格率も20%前後と低い水準にとどまっています。
毎年約1万人がケアマネジャーとして資格を取得しますが、実際にケアマネジャーとして活動する人数は限られており、多くの資格保持者は介護職員として別の仕事に就いている現実があります。資格を取得しても、ケアマネジャーとして働く人数が十分でないことが課題です。
ケアマネジャー資格を有する人数は累計で739,215人ですが、ケアマネジャーとして活動しているのは11万人に過ぎません。この現状からもわかるように、居宅介護支援事業所のケアマネジャー数はここ数年減少しており、高齢者人口、介護保険認定者数、サービス利用者数の急増に対応するためにはケアマネジャーの不足が深刻な問題となっています。
地域によっては、ケアマネジャーの不足がさらに深刻な状況にある場所もあることは事実です。
ケアマネ有資格者がケアマネにならない理由
ケアマネジャー資格を持ちながらも、ケアマネジャーとしての仕事を避ける人々、通称「潜在ケアマネ」の存在は、いくつかの理由によるものです。
なぜなら、ケアマネジャーの仕事は次第に難しくなり、その責任も増大しているからです。
ケアマネージャーの業務は広範囲
まず一つ目の理由として、ケアマネジャーの職務内容が広範に及んでいることが挙げられます。
最近では、ケアマネジャーの仕事はますます多様化しており、介護保険に限定されない業務も担当することが求められています。
例えば、介護保険外のインフォーマルサービスの調整や地域ケア会議への参加、医療機関との連携、さらには全年齢に対応するさまざまな相談窓口などが含まれます。また、介護保険に関連する書類の不備を調査する実地指導があり、これに対するペナルティも非常に大きいため、ケアマネジャーの責任は非常に重いものとなっています。
また、介護業界全体が人材不足に悩む中で、サービス提供の難しさや利用者からのハラスメント被害に悩むケアマネジャーも増えています。こうした広がり続ける業務範囲と責任の増大が、ケアマネジャーの仕事を敬遠する理由となっています。
ケアマネージャーの労働環境と給与待遇
二つ目の理由として、ケアマネジャーの労働環境や給与待遇の問題が挙げられます。
特に、24時間体制での連絡が求められる特定事業所では、夜間や土日祝日にも電話応対が必要であり、休日でも難しい事例に対応しなければならないことがあります。
給与待遇についても、介護職員向けの処遇改善が行われた一方で、ケアマネジャーの給与にはこれらの改善が反映されていないため、改善が進んでいません。
また、ケアマネジャーには職場からのノルマを課せられる場合もあり、法人が自社サービスを積極的に推進しようと圧力をかけることもあります。このような労働環境や給与待遇の問題により、ケアマネジャーが仕事を離れることも増えています。
ケアマネージャー不足には地域間格差がある
地域間格差の拡大 ケアマネ不足には地域間格差があります。全国的にケアマネの人数は減っていますが、特に地方において深刻な状況が見られます。
背景として、ケアマネの人数も勿論ですが、ケアマネジャーの事業所=居宅介護支援事業所の数が減っていることがあげられます。
これは、介護報酬上、大規模な事業所が評価されているため、小規模な事業所が次々と閉鎖していることによります。大規模化する事業所もありますが、小規模事業所は現在の報酬体系では生き残れない状況がはっきりと目に見えるようになっています。
高齢者の多い地域では大規模化した事業所が対応しますが、高齢者人口の少ない地域では小規模の居宅介護支援事業所では利益を上げることが難しく、事業撤退する事例も多いようです。
このような地域間格差により、地域によってケアマネジャー数に偏りがあり、ケアマネと契約できない利用者が増えていることがわかります。
ケアマネージャーが不足している時の対策
市町村の介護相談窓口に相談する
まずは市町村の窓口に相談しましょう。
居宅介護支援事業所の許認可・指導を行うのは市町村です。市町村に相談すれば、新規開設する予定があるか、他市町村にある事業所で対応してくれるところがないか、などの情報を得ることができるかもしれません。
相談することで市町村にこの状況を知ってもらうことも重要です。まずは市町村の窓口で相談することをお勧めします。
サービス提供事業者に直接相談する
2つめはサービス提供事業者に直接相談する方法です。
訪問介護 たとえばデイサービスを利用したいのであれば利用したいと思うデイサービスに、福祉用具の相談であれば福祉用具事業所に相談してみましょう。
例えば、少し遠方であっても、同じ法人が運営している居宅介護支援事業所があれば受けてくれる場合もあります。
ケアマネがいないためにサービスが利用できない、となれば、サービス提供事業者にとっては見込み客を失う大きな損失になります。
多少遠方であったとしてもケアマネが対応してくれれば売り上げも上がるということを考えれば、多少遠方であっても法人間で調整をして対応してもらうということが可能かもしれません。
また、福祉用具であれば、介護保険外の自費サービスで代替できる商品なども含め紹介してくれる可能性があります。
また、ケアマネがいなくても介護保険を利用できる、特定福祉用具や住宅改修などで代替できる方法を提案してくれる場合もあります。
身近な支援ネットワーク・地域のサービスを活用する
3つめは介護保険以外のサービスを利用する方法です。
配食サービス 高齢者向けのサービスは介護保険だけではありません。地域のNPO団体やボランティアグループなどもあります。
地域の助け合いなどによるサポートが充実している地域もあります。地域包括支援センターに相談してみるのもひとつの突破口になるかもしれません。 また、民間の介護保険外サービスも数多くあります。
配食サービスや移送サービス業者など介護保険外サービスで対応できる部分もあります。 介護保険だけで解決を考えずに、幅広く多様な支援者の協力を得るという方法もあります。
まとめ
厚生労働省がケアマネジャー不足に対処するための審議を行っていることは、この問題の深刻さを認識している兆候です。
ケアマネジャーの処遇改善や労働環境の改善など、将来的にはさまざまな取り組みが行われる可能性があります。
地域社会全体で協力し、介護の質とサービス提供体制の向上に取り組むことが、ケアマネジャー不足の解消に向けた重要なステップです。