重度訪問介護事業の開業!必要な条件と資金調達方法

重度訪問介護事業を始めようと思った場合、開業までの流れや資金調達方法が気になると思います。

重度訪問介護事業を始めるためには、都道府県や市区町村から指定障害福祉サービス事業者として指定を受けなくてはなりません。

また、資金を調達するためには日本政策金融公庫のような公的融資、銀行からの借り入れのような民間融資、加えてファクタリングサービスなどがあります。

本記事では、開業までの手順と資金調達方法について詳しく解説しています。

重度訪問介護事業を始めようとお考えの方はぜひ参考にしてみてください。

目次

重度訪問介護事業の開業条件

重度訪問介護事業を立ち上げるためには、以下の4つの条件があります。

・法人格であること
・人員基準を満たしていること
・設備基準を満たしていること
・運営基準を満たしていること

それぞれについて詳しくみていきましょう。

法人格であること

重度訪問介護事業を立ち上げるためには、法人格を設立する必要があります。

株式会社・合同会社・社会福祉法人・NPO法人などで、法人格の指定はありません。

すでに運営している法人でも申請可能ですが、事業目的に障害福祉サービスを行うことの記載がない場合、事業目的の変更手続きが必要になります。

人員基準を満たしていること

重度訪問介護の人員基準は以下の通りです。

職種人数・要件
管理者1人(常勤) サービス提供責任者または従業員との兼務可
サービス提供責任者1人以上(常勤・専従)   必要資格 ・介護福祉士 ・実務者研修修了者 ・介護職員基礎研修修了者 ・居宅介護従業者1級修了者 ・ヘルパー1級修了者 など
従業員2.5人以上(常勤換算)   必要資格 ・介護福祉士 ・ホームヘルパー養成研修1級課程  修了者 ・ホームヘルパー養成研修2級課程  修了者 ・介護職員基礎研修修了者 など

設備基準を満たしていること

重度訪問介護の設備基準は以下の通りです。

事務室

広さの規定は設けられていませんが、机や椅子・鍵付き書庫の設置が必要です。

相談室

利用者やその家族が相談をする場所の確保が必要です。プライバシー保護の観点から個室が望ましいですが、パーテーションで空間を仕切ることでも基準を満たせます。

衛生設備

洗面所にはポンプ式の石鹸や手指消毒液などの設置が必要です。

運営基準を満たしていること

重度訪問介護の運営基準には以下のようなものがあります。

・サービス提供内容及び手続の説明及び同意
・契約支給量の報告等
・提供拒否の禁止
・連絡調整に対する協力
・サービス提供困難時の対応
・受給資格の確認

など

重度訪問介護事業の開業の流れ

次に、重度訪問介護事業を開業するまでの流れについて説明します。

重度訪問介護事業を行うためには、自治体から指定障害福祉サービス事業者として「指定」を受ける必要があります。

指定を受けるまでの流れは以下の通りですが、順番は多少前後することもあります。

1.指定申請に必要な要件の確認
2.事業計画書の作成
3.法人格の取得
4.人員基準を満たす人材の確保
5.設備基準を満たす設備の確保
6.運営基準を満たす運営方法の確保
7.自治体へ指定申請をする
8.指定障害福祉サービス事業者として指定を受ける

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.指定申請に必要な要件の確認

開業する場所の自治体に指定申請に必要な条件の確認をする。

2.事業計画書の作成

事業の見通しを確認するための事業計画書を作成する。

3.法人格の取得

法人格を取得する。重度訪問介護事業を行うためには法人である必要があります。

4.人員基準を満たす人材の確保

人員基準を満たす人材の確保を行う。

・管理者
・サービス提供責任者
・従業員

5.設備基準を満たす設備の確保

事業を行うために必要な広さの場所、設備、備品の確保。

6.運営基準を満たす運営方法の確保

運営基準を満たすための運営方法を確立する。

7.自治体へ指定申請をする

人材や設備、運営方針の準備が整ったら、必要書類を揃えて自治体へ指定申請を行う。

8.指定障害福祉サービス事業者の指定を受ける

自治体から指定障害福祉サービス事業者として「指定」を受ける。

事業を開始してから経営が安定するまでには時間が必要です。そのため、準備資金に自己資金だけを考えていると資金繰りに悩むことがあるかもしれません。

重度訪問介護事業の資金調達方法

次に、以下で重度訪問介護事業が利用できる資金調達方法をご紹介します。

銀行や信用金庫からの借入

銀行や信用金庫から融資を受ける方法です。

銀行融資のメリットは、他の融資方法より金利が低めという点です。しかし、大手銀行の場合、立ち上げ直後では融資が受けづらいという難点もあります。

地域密着型である信用金庫は借入のハードルが低く利用しやすいですが、支店が少なく不便な点があります。

日本政策金融機関の融資制度

政策金融機関とは、政府が出資金の多くまたは全額を出資している金融機関を指します。中でも、日本政策金融公庫では新規事業者が融資を受けやすい以下のような制度があります。

新創業融資制度

新たに事業を始める、または事業開始間もない(税務申告を2期終えていない)方向けの制度です。

最大3,000万円(うち運転資金1,500万円)まで借り入れ可能です。

必要条件を満たしていれば、原則として担保・保証人は必要ありません。

新創業融資制度のその他詳細は以下をご参照ください。

参考:日本政策金融公庫「新創業融資制度」

ソーシャルビジネス支援資金

社会的課題(子育て支援・高齢者や障害者の介護等)の解決を目的とする事業向けの制度です。

最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)まで借り入れ可能です。

ソーシャルビジネス支援資金のその他詳細は以下をご参照ください。

参考:日本政策金融公庫「ソーシャルビジネス支援資金」

ファクタリングサービス

ファクタリングとは、売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらい、手数料を差し引いた額が受け取れるサービスです。

融資などと違い、審査が通りやすく現金化されるまでの時間が短いというメリットがあります。

事業を始めたばかりの頃は資金繰りに困る事業所も多いため、経営が安定するまでファクタリングを利用するのも一つの手です。

ファクタリングについて詳しくは『ファクタリングとは?仕組みやメリット・デメリットを障害福祉事業者向けに解説』で解説をしています。

まとめ

以上、重度訪問介護事業を始めるための手順や資金調達方法について解説しました。

指定障害福祉サービス事業者として指定を受けるためには事前準備が欠かせません。申請に必要な書類は自治体によって違いがあるため、きちんと確認しながら揃えることが大切です。

準備資金においても、開業してすぐに経営困難に陥ることのないよう融資なども検討し備えておきましょう。

念入りな事前準備と無理のない資金計画で重度訪問介護事業を始めてみてはいかがでしょうか。

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